鹿児島県にある屋久島。一説には樹齢7000年を超えるともいわれる縄文杉や、ハート型の大きな穴があいたウィルソン株など、こけに覆われた深い森には独特の世界が築かれています。
毎年30万人近くの人々が訪れる屋久島には、登山やトレッキング初心者の方も多く訪れます。
自分も2017年に初めて訪れましたが、経験の浅い初心者の一人として装備にはずいぶん悩み、とくにシューズ選びは難航しました。
屋久島は、
・とにかく雨が多い
・トレッキングも長時間
↑ 縄文杉を往復するコースで、片道5時間~6時間程度が目安です
・足場が不安定な場所がいくつもある
といった具合で、シューズも相応のものをしっかり準備をしていく必要があります。
当時の自分はトレッキングシューズを持っていない状態だったのですが、悩んだ末に選んだのが、メレル(MERRELL)から販売されている「モアブ(MOAB)2 MID GORE-TEX」です。
結果、モアブを選んでよかったと思います。
初心者の自分にも履きやすく、歩きやすく、足場の悪さや雨からもしっかり守ってくれました。屋久島トレッキングにおすすめのシューズのひとつだといえます。
今回は、屋久島トレッキングの相棒にメレルのモアブ2を選んだポイントと、実際に屋久島で使用したレビューをお届けします!
みなさんのシューズ選びに、参考にならばうれしいです。
メレル(MERRELL)とモアブ2
メレル(公式サイト)は、アメリカで設立されたアウトドアプロダクトメーカー。オーダーメイドのハイキングブーツづくりから始まり、現在は高機能で歩きやすく疲れにくいシューズを世界で展開しています。
メレルのトレッキングシューズにはいくつかのシリーズがあります。
モアブ(MOAB)はメレルでも人気のシリーズで、メレルトレッキングシューズのアイコン的な存在です。
2007年に登場したモアブは2017年にアップデートされ、モアブ2がうまれました。
そんなメレルのモアブ2ですが、今回、数あるトレッキングシューズの中でメレルのモアブ(MOAB)2 MID GORE-TEXを選んだポイントは大きく3つあり、それが、
・ゴアテックス素材の高い防水・透湿性
・経験の浅い人にも安心の履き心地と歩きやすさ
・足首を包んでくれるミドルカット
です。シューズ選びのポイントになったこの3点について、実際に屋久島で使ってみた自分の使用感と合わせて紹介していきます。
↑ こちらが、屋久島で使用したメレル(MERRELL)のモアブ2 MID GORE-TEXです。足幅が広い自分に合わせてワイドモデルを購入しました。
ゴアテックス(GORE-TEX)の防水・透湿性がすごい!
今回のトレッキングでまず気になっていたのは、雨が多い屋久島の環境です。
屋久島はとても雨の多い場所で、「1か月に35日雨が降る」といわれるほど。
雨の中でのトレッキングとなる可能性も十分にあるので、シューズ選びのポイントの1つが雨対策でした。
この雨対策の決め手となったのが「ゴアテックス(GORE-TEX)」です。
ゴアテックスとは
ゴアテックスはアメリカのゴア社が開発した高性能の防水・透湿素材です。
「わざわざそんなもの使わなくても、雨を防ぐだけなら長靴とかでもよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
ゴアテックスの大きなポイントは、防水性と透湿性の両立にあります。
防水するだけならビニールで十分なのですが、そのような素材ではシューズの中が蒸れてしまいます。
たとえばビニールのレインウェアを着ていて、自分の汗でウェアの中がムシムシする、という経験をした方は多いのではないでしょうか。
これは、汗が外に出ていかないために起こる現象です。
シューズも同じで、汗が外に逃げないと自分の汗でシューズの中が蒸れてしまいます。
ゴアテックスは、「ゴアテックス メンブレン」とよばれる薄い膜に、生地を張り合わせてつくられた素材です。
ゴアテックス メンブレンにはミクロの穴がたくさんあいていて、この穴のサイズが、
・液体の水よりは小さく(=雨を通さない)
かつ、
・水蒸気よりも大きい(=汗は通す)
ことで、防水性と透湿性を両立しています。
自分が屋久島を訪れたとき、天気は雨が降ったり止んだりで、足元もところどころ水たまりになっていたりぬかるみになっていたり、、という状況でした。
雨が降る中を歩き続け、水たまりの中に足が突っこむことも多々ありました。
屋久島は沢が多く、水しぶきがシューズにかかることも。しかし、シューズの中にはまったく濡れません。
また、ビニールの雨がっぱを着ているときのように、シューズの中が蒸れて気持ち悪い…、なんていうこともありませんでした。
シューズの中の環境がよいので、歩いていてもストレスになりません。ゴアテックスの防水透湿性の高さを実感しました。
包まれ感と歩きやすさがすばらしい
もうひとつ、シューズ選びの大きなポイントとなったのがMOABの履き心地のよさです。
普段使っているスニーカーなどに比べると、登山靴のつくりはしっかりとしていて硬く、初心者の方は、履きづらい、歩きづらいと感じることも多いのではないかと思います。
「モアブシリーズは履き心地がよい」といううわさは耳にしていました。
一般的な荒川登山口~縄文杉の往復コースでも、行き帰りで合わせて10時間ほどの道のりを1日で歩くこととなります。
長時間のトレッキング、硬い登山靴ではしんどいだろうな、と思っていました。
自分の登山レベルと相談し、初心者の私が長時間履いても負担にならない、なるべく普段使いのシューズと使用感の近いもの。これも、モアブを選んだ大きな理由でした。
ミッドソールにはエアクッションが搭載されており、ショックを吸収して歩行を安定させてくれます。クッション性が高くソールも比較的やわらかですが、シューズには適度な硬さもありました。
シューズに硬さがあると歩行時の足の変形が抑えられ、長時間歩いたときの足の疲労を軽減してくれます。
登山靴に慣れていない方にも歩きやすく疲れづらい、長時間の登山やトレッキングにももってこいの使い勝手のよいシューズだと思いました。
ミドルカットでよかった(助かった)
今回のトレッキングでは、白谷雲水峡~縄文杉~荒川登山口、というルートを取りました。途中の足元は木の根や石の上、急な斜面など不安定な場所も多くありました。
こういった場面で心配なのが捻挫です。
ローカットは足首の下まで、ミドルカットは足首まで、ハイカットは足首の上までホールドしてくれます。
足首の固定がしっかりしているほど捻挫などのケガを防いでくれますが、その分足首の自由が利かず歩きにくくなってしまうというトレードオフの関係にあります。
ローカットだと足首が心もとないけれど、登山靴初心者の私としてはハイカットだとしんどいかも、というところで、ミドルカットのモデルを選びました。
ミドルカットのMOAB 2 MID GORE-TEX、ハイカットほどではないものの、ほどよく足首を固定してくれました。
↑ ローカットのシューズ。足首の自由度が高く、歩きやすいです。整備された道を歩くハイキングなどに向いているといえるでしょう。
↑ ミドルカットのシューズ。足首が適度に固定され、歩きやすさとホールドのバランスがよいシューズです。低山や日帰りの登山などに向いています。
屋久島トレッキングの相棒にピッタリだった!
今回、はじめての屋久島トレッキングにお供してくれたMOAB2 MID GORE-TEXでしたが、このシューズにして本当によかった、というのが率直な感想です。
ゴアテックスのすぐれた防水透湿性は雨の降る屋久島で本当に頼もしい存在で、ミドルカットのちょうどよいバランスにも助けられました。
そしてMOABの特徴でもある履き心地のよさと歩きやすさのおかげで、経験のない私も長時間にわたる屋久島トレッキングを存分に楽しむことができました。
全体を通して、経験のない自分をよくぞここまでフォローしてくれたと思います。
屋久島はもちろん、屋久島以外でも、これから登山やトレッキングを始めてみようという方、登山靴を履いたことがない方の最初の一足にもおすすめできるシューズです。
もちろん、登山靴はモアブだけではありません。自身のレベルや使用するシチュエーションと相談し、自分に合った1足を見つけることが大切だと思います。
今回は屋久島でのレビューでしたが、みなさんのシューズ選びにお役に立てればうれしいです。
↓モアブ2のほか、屋久島トレッキングにおすすめのシューズをまとめてみました。よろしければ、参考にしてみてください。
《追記》モアブ2から進化したモアブ3も登場
2022年9月、モアブ2をさらにブラッシュアップしたモアブ3が登場しました!
モアブ2からの変更点としてはいくつかあるのですが、大きな違いとして、
・アウトソールの形状のアップデート
・ミッドソールの弾発性の向上
があげられます。
とくにアウトソールは大幅に変化していて、モアブの歩きやすさ、履き心地のよさがさらに向上しているようです。
↑ メレルのモアブ3 シンセティック ミッドゴアテックス
通常のモアブ3は足幅(ワイズ)が2Eとなっています。3E相当のワイドワイズモデルもありますが、こちらはカラーの選択が1つで、アース(EARTH)のみしかありません。
日本人は足幅の広い人が多いので、ワイドワイズモデルでもいろいろなカラーが登場してくれたらうれしいところですね。今後の展開にも期待です!