カザフスタン

カスピ海を目指して クングラード~アクタウ その2

アイキャッチはカスピ海
波打ち際は砂が巻き上げられて濁っていますが、沖合のグリーンがめちゃ美しい

ヒヴァを出発し、クングラードに到着。アクタウへ行くためまずは鉄道でベイネウを目指します。クングラードの駅に泊まらせてもらえることになり、翌朝出発の列車を待ちます。
前回の記事はこちらです

クングラート~ベイノイ(ベイネウ)

翌早朝、クングラードからベイノイ行きの列車に乗った。
駅舎で寝ていた自分は寝坊することもなく、部屋を出て1分もかからずホームに出て、そのまま列車に乗り込んだ。

座席は4人掛けのボックスシートになっており、地元の人と思しきご家族3人のところに1人ぽつんと外国からの旅行者が座るかたちになった。

やはりこんなところまで来る旅行者は相当珍しいらしく、車内では四方八方から声がかかる。
持ってきていた会話帳やガイドブックは「見せてくれ」と列車の中をあっちやこっちにいって自分のところには全然返ってこないし 笑、デジタル一眼レフカメラもまだちょっと珍しい時代だったからか、とにかく写真をせがまれた。

同じボックスに座るご家族からはチャイをいただいたり、ピロシキをいただいたり、お菓子をいただいたり、お昼ごはんもご馳走になったり、親切にしていただいた。
自分駅前のお店で買った水とピクルスしか持ち込んでいなかったので、ありがたかった。

出発から9時間後、列車はウズベキスタンを出国し、カザフスタンに入った。
自分にとっては2度目の入国。そのまま快調に走り続け、やがて日が沈み、21時ごろカザフスタンのベイノイに到着。

早速、駅の窓口に行ってアクタウ行きの列車に着いて聞いてみる。と、深夜1時にあるらしい。

只今21時で最初はベイネウで1泊することになるだろうと思っていたけれど、深夜1時・・・。悩む悩む。

長時間の移動で結構疲れてるし休みたい、しかし駅前は真っ暗で宿らしきものも見あたらない。探せばあるのかもしれない。

4時間後には列車が出発する・・・。

しばらく悩んだ末、ここも「行ってしまおう!」が勝って、切符売り場の窓口に並ぶことにした。
カスピ海を早く見たかったし、フェリーが不定期だからできるだけ早く行きたかった。

1000円自由席のアクタウ行き切符を手に入れ、出発までの4時間を駅で待つことに。
しばらくして気が付いたのだけど、こんな時間なのに小さい子どもたちがすごく多い。
なぜなんだろうと思っていると、列車を待つ人たちを相手に売り子をしているようだった。

ザックを下ろし、そんなようすを見ながらホームで休んでいると、自分のことを発見したらしいちびっこたちが集まってきた。

ジュースでも売りに来てくれたのかなと思っていたら、
「ブルース・リー!ブルース・リー!」
と言いながらなにやらアクションを披露してくれる。
そういえば、カザフスタンでも「空手を見せてくれ」と言われたことがあったし、どうやらカンフーや空手の映画やテレビ番組が流行っているらしい。

ベイノイ(ベイネウ)~アクタウ

子どもたちと一緒に遊んでいるうちに時間は過ぎ、深夜1時アクタウ行きの列車が到着。
車内はとんでもなく混雑しており、座席や寝台はすでに人がいっぱい。

通路には荷物があふれ、なんかでっかいパラボラアンテナまで立てかけてある。デッキにも人がいっぱい。
座るところが見あたらない・・・。
アクタウに到着するのは8時くらいだった気がするので、それまでここで立ちっぱなしというのもつらい・・・。

若干絶望していると、「こっちこっち」と誰かが手招きしてくれる。見ると、ベイノイ行きの車内で一緒だったご家族だった。

「ここ座り、はい」とちょっと詰めてスペースをつくってくれた。ほんっとうにありがたくて感謝感謝。
クングラートからこの車内でも本当にお世話になった。

座席でカタンカタンと走る音を聞きながら浅く寝て、日が出るころに目を覚ます。
朝になるとあれだけたくさんだった乗客も徐々に減り始め、謎の巨大パラボラアンテナも運び出され、お世話になったご家族も「気を付けてよい旅を!」と降りて行った。

あれだけ落ち着きのなかった列車はほとんど人がいなくなり、車内はすっかり静かに。

そうするとなんだか急にそれまでの疲れが出てきた感じで、あいていた寝台に横になり、アクタウまで車窓を眺めながら過ごした。

アクタウ カスピ海へ

ガラガラの列車はわずかに残った乗客を乗せて無事にアクタウ駅に到着。
市街までは距離があるので、タクシーで連れて行ってもらうことにした。

おそらくバスもあるのだろうけど、見ず知らずの街でどこに行くのかよくわからないバスにいきなり乗るのはハードルが高い。

街に入ると、遠くに青くて大きな海が見える。
「カスピ海?」
「イエス!カスピ!」
この瞬間はかなり気持ちが高まった。ついに、カスピ海が見えるところまできた。
地図の上でしか見たことのないカスピ海。

地図の上だけ、というとほかの街や都市もそうなんだろうけど、カスピ海は特別。

上海に始まり、陸路で大陸を横断する。
徒歩にしろバスにしろ列車にしろ、ずっと地面の上を進んできた自分にとって、「海」であるカスピ海は大陸上そのど真ん中にある大きなランドマークのような存在だった。

その青く大きな海が自分の目の前にある。ここまで来たんだと強く実感できたからだと思う。

カスピ海 波打ち際は砂が巻き上げられて濁っているけど、沖合のグリーンがめちゃきれい

無事に宿にチェックインし、長い移動で2日ぶりのシャワーを浴びると砂埃を浴びまくっていたからか、流れていくお湯がなんだか黒っぽい。

ほんっと大変な移動だった。フェリーのこと調べないと、と思うも久しぶりのちゃんとしたベッドで熟睡。

次回は、アクタウからアゼルバイジャンのバクーへ、カスピ海横断フェリーに乗るべく奔走するアクタウでの日々に続きます