スマートフォンのカメラ機能もとてもよくなり、たくさんの人が写真を撮るようになりました。
そして気軽なスマホ写真もいいけれど、もうちょっと本格的に写真を撮ってみたい、という方も増えてきました。
でも、カメラを買おうと思うけれど、いっぱいありすぎてわからない、わからなすぎて結局買えない…、という方も多いのではないでしょうか。
自分も長く写真をやっていますが、最近はほんとにいろんなカメラが出てきました。
ご質問もよくいただくのですが、特に多いのが「ミラーレス一眼カメラと一眼レフカメラ、どっちを買ったらいいの?」という内容です。
聞いてみると、そもそもミラーレス一眼と一眼レフカメラの違いがよくわからない…という場合がとても多いんです。
お店に行ってみても「ミラーレス一眼コーナー」と「一眼レフカメラコーナー」に分かれて商品が並んでいることも多いですが、そもそも何が違うの、ってなる方も多いのではないかと思います。
そこでこの記事では、「ミラーレス一眼と一眼レフカメラって何が違うの?」「どっちがいいの?」を解説します!
カメラデビューへの道、最初の一歩を踏み出しましょう!
デジタルカメラのしくみ
ミラーレス一眼と一眼レフカメラの違いの前に、まずはデジタルカメラで写真を撮るしくみを大ざっぱに解説します。
デジタルカメラでは、レンズを通して入ってくる光をイメージセンサー(撮像素子)というもので受け取ります。
イメージセンサーはデジタルカメラの心臓部です。
ここで受け取った光の情報が写真として記録されるわけです。
昔は、この心臓部が「フィルム」でした。
もうあまり知らない人も多いかと思いますが、フィルムカメラでは、レンズを通して入ってきた光の情報は、フィルム上に残されていました。
上の画像にあるのがイメージセンサーです。
また、画像のカメラはレンズを外している状態で、真ん中の部分にあるのがイメージセンサーです。
本来ならば銀色の丸いリングの部分にレンズがついていて、レンズを通して入った光をイメージセンサーで受け取るしくみです。
ではいよいよミラーレス一眼カメラと一眼レフカメラの違いについてですが、まずは一眼レフカメラからまいります!
一眼レフカメラのしくみ
上の画像はニコンの一眼レフカメラです。
一眼レフカメラには、「光学ファインダー」というものがついています。
背面からの画像を見ると、液晶画面の上に丸いのぞき穴がついていますよね。
これが光学ファインダーです。
一眼レフカメラで写真を撮るときには、基本的にこの光学ファインダーをのぞいて写真を撮ります。
なんだかよくわからなくなってきたかもしれません。
ということで、一眼レフカメラの断面図を模式的に描いてみました。
一眼レフカメラでポイントとなるのは、上の図にある「ミラー」と「ペンタプリズム」です。
ミラーはその名の通り鏡です。
実は、一眼レフではカメラの中に光を反射させるための鏡が入っています。
そしてペンタプリズムですが、こちらも光を反射させるもので、ガラスのような透明のブロックです。
一眼レフカメラの場合、レンズから入ってきた光は、ミラーに反射して上に進み、さらにペンタプリズムの中をくるっと反射してファインダーに進みます。
撮影者はレンズから入ってきた光をファインダーで見ながら、構図などを決めていきます。
そして、シャッターを押すと、「ミラー」が一瞬だけ上にはね上がります。
そうすると、光はイメージセンサーにあたり、これが写真として記録されるしくみです。
ちなみに、一眼レフカメラの「レフ」という言葉は「レフレックス(Reflex=反射)」に由来します。
レンズに入ってくる光を反射させるしくみをもっているのが、「一眼レフカメラ」というわけです。
ミラーレス一眼のしくみ
ミラーレス一眼というのは、その名の通り、一眼レフカメラの内部にあった「ミラー」がないのです。
そして、「ペンタプリズム」もありません。
ミラーレス一眼はどのようなしくみで写真を撮っているのでしょうか?
そのしくみはとてもシンプルです。
レンズを通った光はそのままイメージセンサーに入ります。
イメージセンサーで捉えた光の情報は、背面の液晶ディスプレイに映像として出ているので、撮影者はそれを見ながら撮影することになります。
シャッターを押すと、イメージセンサーで捉えている光の情報が写真として記録されます。
このようなしくみになっているので、一眼レフカメラにあった「光学ファインダー」はありません。
上のキヤノンのミラーレス一眼の画像を見ていただくと、背面には大きな液晶しかないことが分かるかと思います。
*機種によっては、「電子ビューファインダー(EVF = Electric View Finder)」といって、デジタルの映像を出力するファインダーをもつものもあります。
上の画像はキヤノン製のミラーレス一眼カメラです。
外観は一眼レフのように見えるかもしれないのですが、ミラーもペンタプリズムもありません。
背面の光学ファインダーに見える部分が「電子ビューファインダー(EVF)」です。
結局どっちがいいの?ミラーレスと一眼レフ
ミラーレス一眼と一眼レフカメラの違いをみてきましたが、結局どっちを買えばいいのでしょう?
これにはそれぞれ一長一短があり、「どこを大事にするか」で変わってきます。
最後に、今回の記事を踏まえ、ミラーレス一眼と一眼レフカメラの長所・短所を簡単にまとめます。
ミラーレス一眼の長所と短所
長所
・ミラーやペンタプリズムがないので、一眼レフカメラに比べると軽量でコンパクト
軽量さ、コンパクトさというのはすごく大事な要素です。
自分の使っているカメラはもろもろ込みで2kgくらいの重さがありかなり大きいのですが、持って出るのにも気合がいります。
重すぎて、なかなか「カメラ持って行こう」とならないのです…
ミラーレス一眼は軽くて小さいので、出かけるときに気軽にカバンに忍ばせておけます。気軽にカメラを持ち出せる、というのは意外かもしれませんがとても大事です。
短所
・動体にちょっと弱点がある場合も
「動体」とは動いている被写体(写真に撮ろうとしているもの)のことです。
ミラーレスカメラでは、液晶や電子ファインダーを見ながらの撮影となります。
イメージセンサーは受け取った光を電気信号に変換し、この電気信号が液晶や電子ファインダー上に映像として出力されます。
激しく動いている被写体の場合、イメージセンサーで受け取った情報の処理が追い付かず、液晶や電子ファインダーの画面に像のブレや表示の遅延が生じやすいのです。
画面にブレや遅延が生じると、それこそ動体の場合決定的瞬間を逃してしまうかもしれません。
最近のミラーレスカメラは、昔の機種に比べそのあたりもだいぶ良くなっていますが、ちょっと注意が必要かもしれません。
・バッテリーがちょっと心配
ミラーレスカメラでは、背面の液晶画面や電子ファインダーなどで映像を見ながらの撮影となります。
これには電力を消費するので、一眼レフカメラに比べるとバッテリーの消耗が早く、(バッテリーの容量にもよりますが)撮影枚数が少し落ちます。
一眼レフカメラの長所と短所
長所
・光学ファインダーなのでブレや遅延がない
一眼レフカメラでは、光学ファインダーを覗きながらの撮影となります。
レンズから入ってきた光をそのまま目で見ているので、液晶画面や電子ファインダーにみられるブレや遅延の心配がありません。
・バッテリーのもちがよい
一眼レフカメラの場合、撮影時は基本的に光学ファインダーを使います。
映像を見ながら撮影するミラーレスカメラに対し、光学ファインダーを覗いている分には電力の消費がありません。
背面の液晶は、撮影した写真の確認などに使われます。
(液晶画面を見ながら撮影することも可能で、場合によって使い分けます)
そのため、余分な電力を消費せず、ミラーレス一眼に比べるとバッテリーが長持ちする傾向にあります。
短所
・ミラーレス一眼に比べると大きくて重い
一眼レフカメラにはミラーやペンタプリズムが入っているため、どうしても大きく、重くなります。
この大きさ、重さの問題は意外と深刻です。
大きくて重たいカメラは気軽に持ち出しにくく、どうにも気持ちにブレーキがかかってしまいます。
気軽にカバンに入る大きさでもないし、重たいカメラをずっと首からぶら下げて出歩くのは結構疲れます。
そして「カメラ重たいし置いていこう」と、カメラを持たずに出かけたときに限って格好のシチュエーションに出合うことが多々あるのです…
それぞれに長所・短所がある
というわけで、ミラーレスカメラと一眼レフカメラについて、構造の違いから、長所や短所を簡単にまとめてみました。
それぞれに長所・短所があるので、比べていただいて自分に合ったカメラを選ぶのがいいかなあと思います。
あと、「画質がいいのはどっち?」という質問もあるのですが、ミラーレスか一眼レフかという違い自体は画質には影響しません。
搭載しているセンサーや、画像処理エンジンによるところが大きいです。
このあたりもいずれお話できたらと思います。
ちょっとでもお役に立つことができたら幸いです。