ユーラシア大陸横断

イランのこと テヘラン~イスファハン

最近ニュースなどでよく見るようになったイラン。とはいっても以前からテレビや新聞にはちょくちょく出ていました。でも、いずれにしても核開発などあまりいいイメージはないかもしれません。2002年には悪の枢軸と呼ばれ、アメリカとの対立もあって悪いイメージばかりが広がっているように思います。

2008年、自分はユーラシア大陸を横断する旅をし、イランも訪れました。ブログでは当時の横断記録をまとめ直している最中です。イランを通るのはブログの中ではまだまだ先なのですが、今、実際にイランの人たちにお世話になった者として、自分の見てきた世界をお伝えしておきたいと思いました。トランジットビザの入国なので短い期間ではありますし、もちろん1人の旅行者が見てきただけのものなのですが、なにかのお役に立てたらと思います。


ちょっとずつ書いていた記事がようやく追いつきました(2020年2月9日)
カスピ海をフェリーで横断したあとバクーからアゼルバイジャンを南下していきます。
南部にある温泉地イスティスゥで1泊して疲れを取り、翌朝アスタラからイランへと進んでいきました。

前回の記事はこちらです

イラン入国 テヘランへ

2008年9月、アゼルバイジャンを南下しイランに入国。国境はアスタラ。アスタラからイランに入り、バスでテヘランへ。テヘランにはその日の夜に到着してとりあえずタクシーで安い宿に連れて行ってもらうことに。

国境の町アスタラへと向かう車内から

このときはカザフスタンから一緒だった日本人2人一緒だったのだけど、お決まりのフレーズ
「安くていい宿ありませんか?」
を運転手さんにぶつけてみる。時間的にはもう夜も遅く、運転手さんも仕事を終えて帰るところだったようなのだけど、
「えー!うーん・・・いいよ!」
と、こんな時間で早く帰りたかっただろうに、行くあてのない自分たちのために車を出してくれた。料金も1ドルという話で「1ドルならこのくらいの距離かな」と想像していたら、ターミナルから市街地にある宿まではずいぶん遠くて、とても1ドルで行けるような場所ではなかった。

割増賃金でもなんでもできたのだろうけど、外国からの旅行者である自分たちをすごく歓迎してくれているようだった。
このご厚意に何とか応えねばと、みんなして日本のポストカードや硬貨を降り際にプレゼントした。

運転手さんが紹介してくれた宿ではご主人が、着いたばかりの自分たちを見て、
「こんな遅くにお疲れさま。大変だったね!ご飯は食べたの?」
とこれまた手厚く迎えてくれた。
「いや・・・何にも食べる時間がなくて」
「そうか!簡単なものだけどつくるしちょっと待って」
とわざわざごはんをつくってくれたのだが、これがまた本当においしい。卵にツナとニンニク入りのヨーグルトを混ぜて炒めたものと、あったかい紅茶。国境を越えてばたばたとした移動で、知らない間に疲れがたまっていたのかすごくほっとした。ほっと一息とはまさにこの時のためにあるような言葉。おいしいごはんと紅茶をいただいて、この日はみんなしてベッドで熟睡 笑

テヘランを歩く

テヘランの日々

次の日、イスファハン行きのバスを手配するために出かけた。トランジットビザの自分がイランに滞在できるのは1週間。その間に、かつて世界の半分といわれたイスファハンには絶対に行きたかった。

バスターミナルには無事に到着することができたのだが、どうやらここではイスファハン行きのバスに乗車はできるけれど、チケットは買えないらしい。つまり、チケットを別の場所で購入して、ここから乗る、らしいことがわかった。チケット売り場へ行くためのバス停を教えてもらったけれど、いざバス停に行ってみるとどのバスに乗ったらいいのかわからない・・・。

思い切って、バスを待っていた会社員風の男性に尋ねてみた。男性はずっとにこにこして見ず知らずの若者の下手な英語を聞いてくれ、
「よーし!自分もちょうどそっち方面のバスに乗るから一緒に乗ろう!」
とご一緒させてもらうことになった。

バスの中でいろんな話をした、日本のこと、旅のことを話す中で、
「イランはどうですか?」
と聞かれた。振り返ってみるとイランに来てまだほんの短い間だけど、出会った人はみなとても親切だった。

テヘラン行きのバスの中で一緒になった女子大生たちにはお菓子をごちそうになったし、おばちゃんたちには休憩所で夜ごはんをごちそうになった。
タクシードライバーのおっちゃんは1ドルで夜中宿まで送ってくれた。
そういえば、このターミナルに来るのに地下鉄に乗ったけれど、どの電車に乗るかわからず構内案内図を眺めている自分を見つけた若い男性たちは一緒に電車に乗ってくれた。電車賃も出してくれた。そんな話をして、
「こんなに親切にしていただいて、本当によい国だと思います。」
そう言うととても喜んでくれた。


自分の降りるバス停が来て、そこでその男性とは別れた。最後まで大きな笑顔で、とかく心細くなりがちな1人ぼっちの旅行者の自分も大いに元気をもらった。

降りた先のチケット売り場で無事にイスファハン行きのバスチケットを購入し、その日の夜、イスファハンへと旅立った。

またまた長くなったので、イスファハン編に続きます