前回の記事はこちらです
ラサからギャンツェへ
ポタラ宮やジョカンなど、ラサを回った翌日、ガイドさん、ドライバーさんとともにギャンツェへ向かった。
ラサからは南西におよそ260kmの距離にある。
車内ではチベットの歴史や今おかれている状況など、いろいろと話してくれた。
時おり検問があり、そのたびに兵士から入域許可証等をチェックされるのだが、銃を持った兵士に車を停められるというのはやはり心穏やかなものではなく、自由を失ったチベット、その文化や人々のことを思わずにはいられなかった。
4時間ほどかけて、車はギャンツェの白居寺(パンコル・チョーデ)に到着した。
緑のチベット高原、タルチョがはためく家、ヤク達、人々、車窓から飛び込んでくる景色がなにもかも自分の知る世界とかけ離れ、いろんなことを教えてくれるドルチェさんのお話と相まってあっという間の4時間だった。
奥に大きな仏塔が見える。
入り口を入ると金色のマニ車が並んでおり、自分もマニ車を回しながら進んでいく。
そのまま進むと本堂の大集会堂にたどり着く。
これまた内部の撮影はできなかったのだけど(確か撮影料が必要だったのかな?)、ドルジェさんが壁画や仏像のことを熱心に解説してくれた。
とても博識で、話を聞くにどうやら大学の先生のガイドもされているらしいが、出発前にワンさんが「たくさん勉強してきてくださいね!」とおっしゃっていたのはこのことなのだろう。
わざわざ日本語を話せるチベット人のガイドさんをつけてくれた。
ごはんをご馳走してくれたことも、そういえば、「学生さんだからね!」と旅行の費用をひそかにまけてくれてもいた。
西寧での日々は日本を離れて少し日がたっていたのもあって不安も多かったのだけれど、自分の旅をこうやって応援してくれている人がいるんだなと思った。
本堂を出て右にあるのが、仏塔、ギャンツェ・クンブムで、文化大革命もなんとか生き残った貴重なもの。
塔の中にはさまざまな仏教、特に密教の壁画が残されていた。
やはりチベット仏教は密教の部分の魅力というか得体の知れなさがあって、いろんなことを教えてもらった。
チベット仏教の世界に浸り、その日はギャンツェの市街に1泊して翌日シガツェへと向かった。
ギャンツェからシガツェへ
シガツェにはタシルンポという有名な仏教寺院がある。
ここでは仏教問答の伝統が連綿と受け継がれ、今も目にすることができる。
自分よりもずっと年下の、若い僧侶たちが、伝統にのっとって問答修行する姿は感慨が深かった。
各地でチベット仏教の文化、伝統が失われている中、ここではそれがなんとか守られて若い人たちに継承されているのだ。
しかし、それが今後も続くかはわからない。
明日には失われることになるかもしれない。
過酷な環境の中でつくりあげられた一種独特のこの世界が消えないことを願うばかりだった。
問答修行には決まったポーズや言い回しがあるようで、大きな身振り手振りを交えて独特のフレーズで問答が行われる。
何百年もかけて培われてきた修行。
ラサに戻り、蘭州へと向かいます